ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

痛み2(ss)



寝起きの悪い相棒の頭に角都が拳骨を落とす。ゴッ、と音が出るほど殴られてやっと目を覚ました飛段は、ぼんやりしながらも服と髪を整えて武器を担ぎ、角都がおこした焚火のそばにしゃがんで炙った肉をかじる。不足のない穏やかな朝の時間。だったはずなのだが、肉をかじる飛段の顔つきがだんだん険しくなってくる。おい角都、と呼びかける声もとげとげしい。てめー馬鹿力なんだからちっと手加減しろよコラ、いてーじゃねーかコラ。どうやら拳骨を落とされたところが今さら痛むらしい。ばかばかしくて取り合わない角都だが、飛段が肉の脂にぬめった指で頭をさすろうとするので、仕方なく自分の片手で相棒の頭をなでてやる。なでられながらも飛段はつけつけと文句を言い続ける。痛みが消えるまで。