ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

オレだけが相棒(ss)



カネはトイレと同じで触ると手が臭くなる、と言ったとたん角都の拳が顔にめりこんでいた。だしぬけだったので痛みより何よりまずびっくりしたオレは、地面にひっくり返ったまま折れた鼻を押さえた。歯も折れている。というか顔の下半分がぐじゃぐじゃになっている感じがする。角都は突っ立ったままオレを見下ろしていた。その目がいつもよりも大きい。一瞬オレは幼児時代の角都を思う。癇癪を起して玩具を壁に投げつけ、ばらばらに壊れてしまった残骸を前に立ちつくす幼い角都を。その見開かれた目を。オレは歪んだ鼻を力まかせにねじって元の場所に戻し、折れた歯を勢いよく吐き出して、やっぱテメーの手はカネくせーなァ、と言い捨てる。そうして次の打撃を待つ。存分にやれよ、テメーが何したってオレぁ平気なんだぜ。