ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

猪一頭につき千五百両が相場(ss)



害獣の駆除なんか圧害と頭刻苦がゴオーッとやればあっという間なんだが、奴らの飼い主がインフルエンザでへろへろなんで頼るに頼れない。金欠じゃなかったらこんな仕事請けるオレらじゃないが、宿に泊まるにしても薬を買うにしても残念ながらカネがいる。いいから任せとけ、と役立たずを高い木の枝に座らせてオレは鎌を握る。餌としてたっぷりとぶちまけた残飯からいやな臭いが漂う。奴らもそれを嗅ぎつけたんだろう、イノシシどもがあちこちから残飯めがけてトコトコ走ってくるのが見える。でかいのも小さいのもトコトコトコトコ、すげー数だ。見てる分にはけっこう面白い。と、鎌は水平に振れよ、と死にそうな声でジジイが枝から講釈をたれてくる。上から振りおろすよりヒットポイントが増える、きさまノロマだからな、獣だと思って油断するな、死ぬぞ。それをオレに言うかよ、と言い捨ててオレは走り出す。楽しげに食事するイノシシの群れに向かって、鎌を低く水平に振り上げて。