ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ジューシー(ss)



木イチゴがたわわに実る藪のそばで休憩した。それまで足をひきずって歩いていた相棒だが、休みもせずにうろちょろと藪をめぐり、せっせとイチゴを食べている。じきに戻ってきたのを見ればコートの裾を籠代わりに熟れたイチゴを山ほど摘んでいる。オメーも食うか。いらん。マジでうめーから食ってみろよ、ほら。うるさく口元に押しつけられるイチゴをしかたなく食べれば、なるほど汁気が多くて甘酸っぱい。悪くない、と言うと気を良くしたらしい相棒が次から次へと俺の口へイチゴを入れてくる。他人の指からものを食べるのは妙な感じだ。されるままなのは面白くないので俺も相棒の口にイチゴをどんどん押し込む。唇を赤い汁で濡らした相棒が、おいおい手加減してくれ口が追いつかねーぜ、と笑う。ぬるぬると赤い舌が俺の指を舐める。他意はないのかもしれない。だが反応してしまった俺の体をどうしてくれる。