ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

不器用な卑怯者(ss)



抱いていた飛段が朦朧としながら、好きだ、と言った。主語がない曖昧な言葉を俺は自分に都合よく解釈し、そんなに俺が好きかと問いかけると飛段は何度もうんうんと頷いた。何を言われているかもわからないくせにと思うと妙な苛立ちと罪悪感がわいてきて、俺はそれをごまかそうと乱暴なふるまいをした。何度目かに飛段が死んだとき、俺は奴の手を胸の縫い目から体内へ入れて心臓の一つを握らせ、自分の手を添えてつぶさせた。見えない罰は恐ろしかったので、見える罰を受けようとしたのだ。