ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

若い嫁(ss)



連れ込み宿の天井一面が鏡であった。この鏡を使うことについて角都と飛段の間には今までにも確執があり、つまり二人がここに宿泊するのは初めてではない。次の獲物は相棒に屠らせると約束してやっと宿に入った角都はいそいそと、飛段はややしぶしぶと服を脱ぎ、布団の上でいつもどおり格闘技のように交わる。少し目を上げれば鏡の中で絡み合う二人の男。天井が低いので映りこんだ人体の細かなところまで近々とよく見える。鏡を気にする飛段をよそに、角都は大きな虫のように相棒の体を這い回って撫でたり舐めたり噛んだりし、まだまだ子どもだな、と言ったりする。飛段は伸びやかで充実した良い体格をしているのだが、角都から見れば伸びしろだらけなのだ。ここなど特に未熟だぞ、と竿をいじられた飛段は身を硬くして耐えるが、鏡の中で自分の下腹部に顔を埋めている角都を見るとたまらなくなる。逆さの四遁面が鏡越しに飛段を見ており、四つん這いの角都の尻が飛段の胸元にある。我慢の末に達して腹を波打たせる飛段を、角都は今度は自分の腹の上に仰向けに横たえる。鏡には全裸の角都と、一回り小さな飛段の体が重なって映りこむ。縫い目が走る浅黒い腕が白い体を後ろから拘束し、先ほど達したばかりの器官をなおも執拗にいじりまわす。竿が芯を持ちだす頃合いで尻を犯された飛段は咳払いのように息を吐き、喉を反らせ、やがて腰を揺らす。だが角都がのけぞった頭に手を添えて向きを変えさせ、開いた唇を吸うと、腰が止まり、丸い尻たぶが角都の竿を挟んだまま硬く緊張する。口を吸えば吸っただけ、中を突けば突いただけ飛段は達し、しまいには喉を噛まれたり胸をつねられたり玉を叩かれたりしても延々と達するようになる。角都はよく磨かれた天井の鏡に目を移し、脚を先までぴんと伸ばしていき続ける相棒の姿を観賞する。白い体が弛緩し、反応が薄くなっても飽かずに眺める。彼が笑みを浮かべて鏡に向かうのはこのときぐらいのものなのだった。