ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

特訓(ss)



角都がオレの鎌使いにケチをつける。柄を握って振るう動作が無駄に大きくてノロい、もっと鋭く速く振れ。いつもならうるせーなと言い返すんだが、今日はまさに鎌を大振りしている間に獲物を逃がしていたのでちょっと耳が痛い。ハイハイどーせオレはのろまですよォとひねくれていたら、角都がマジな顔で、ちょっと鎌を貸せ、と言ってきた。めんどくせーと思ったが拒否したらそれこそめんどくせーことになりそうだ。角都は手にした鎌をしげしげと眺め、何度か軽く振ってから、両手で柄を握ってブンと振った。びっ、と音がして刃先が空を切る。貴様もやってみろ、違う、肩で回すな、引きつけて刃の重さを生かせ、そうじゃない、貴様どこまでバカなんだ頭を使え頭を、力んで振るから無駄が出るんだ、腰にキレがない、何だそれでやってるつもりか、バカなうえに不器用な野郎だな貴様、こうするんだよく見てみろ。角都はなぜか突然服を脱ぎだし、生まれたまんまの姿になると、オレから取り上げた鎌をまたもやブンと振った。奴の竿が勢いよく太腿に当たってパチンと鳴る。パチン、パチン、と何度か鳴らしてから奴は鎌を返してよこす。脱げ、振れ、早くしろ。ええーとオレはドン引きするが、奴が本気で睨みつけてくるもんだからしぶしぶ服を脱いで鎌を振る。角都の育ちがちょっとばかりわかったような気がする。けどどうやったらこのアホらしい状況から抜け出せるのかはわからない。そんなことをつらつら考えるオレをよそに角都は不機嫌な声を上げ続ける。何だその腑抜けた音は、サイズだけじゃなく硬さまで頼りないんだな貴様の道具は、気合を入れろ、腰だけ振るな踊り子じゃあるまいし、声を出せ声を、そらイッチニッサーン、イッチニッサーン!