ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

二人で担う(ss)



仕事を済ませて集金に行くと、依頼主が嫌味を言いだした。邪魔者が簡単に消えたので金が惜しくなったのだろう。角都に睨みつけられると、さすがに不安になったらしく依頼主は渋々ながら全額を支払ってきた。不愉快だったが金さえ手に入れば問題はない。二人はその晩その町に泊まり、翌日発ったのだが、町を出たころ飛段が妙なことを言い始めた。角都よ、ゆうべお前が寝てからオレぁあのクソ野郎のところに行ってよ、がつんと言ってきてやったぜ、テメーみてえな雑魚を相手にするのもバカらしいから黙っていたがあんまり調子こいてると生まれてきたことを後悔させてやるぜってな。角都は戸惑う。いかにも唐突な報告だし、辻褄もあわない。昨夜はあれから大雨になり、上がったのは出立直前、なのに飛段のコートは濡れていない。加えて雨音を聞きながらの行為のあと角都は相棒とつながったまま眠り、目覚めたときも同じ体勢だった。実際には不可能なクレームについて角都は考え、曖昧に、そうか、と答えておく。なぜ飛段が嘘をつくのかはわからなかったが、その嘘に慰められたのは確かだったからだ。