ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

そんな顔をさせるためにがんばったんじゃない(ss)



追い続けていた賞金首をやっと探し当てた。と思ったら、少し離れた村に別の高額賞金首が現れたらしい。角都はこっちをオレに任せ、自分は別の奴を狩りに行くと言う。オレはちょっとごねた。後で合流とかめんどくせー、こっちの奴を片づけてから一緒に行こうぜ。ふん、貴様一人では無理だとでも言うのか。…カネのことしか頭にない相棒がわざと挑発しているのはわかっていたが、そんなことを言われたら意地でも一人でやってやるって気になっちまう。そして角都は出かけていき、オレは賞金首と殺し合いをした。よくあることだがそいつも賞金稼ぎであり、手練れで、しかもオレの戦い方を熟知していた。水遁で地表を覆われて陣が描けなくなったオレは分の悪い勝負を続け、最後には水牢に取り込まれてしまった。ひとのことを言えた義理じゃないが、そいつは悪趣味な野郎で牢の中のオレをいたぶり、楽しんだ。勝てたのはそいつがミスって水牢を地面に触れさせたからだ。水に溶けたそいつの血を飲んでいたオレは、手のひらに刻んだ陣を地面に押しつけ、もう片手で自分の急所を握りつぶした。オレの方が残忍であることを思い知らせるために。無力化した相手にとどめを刺し、ジャシン様へ祈りをささげ、そのまま体の回復を待っていたら角都が戻ってきた。手ぶらで。逃がしたのかよと尋ねると言いにくそうに、ガセだった、と答えてくる。多分そいつがデマを流したんだろう俺たちを分断するために。マジかよダッセェ、こっちは楽勝だったぜ。言いながらオレはさっきの奴に破かれたズボンをコートで隠す。結果はオーライだったんだから相棒にもそれを喜んでほしかったのだ。