ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

感傷(ss)



外でやるなら立位が一番簡単だ。繁華街から一本入った真っ暗な裏道で、角都は塀に両腕をついた飛段のコートをまくり、ズボンを引き下げる。尻から串刺しにされた飛段が、おえ、と呻く。マジで気持ちわりー。飲み過ぎだ、と角都は言い、飛段の股をこねる。飛段は文句も言わないが喜びもせず、無関心なふうである。性よりも反吐を吐くことに集中しているのだろう、股もふにゃふにゃと柔らかい。勝手にことを進める角都の喉の奥で空しさがふくらむ。異常な行為が日常になってしまった今になって、すっ飛ばしてきたステップを惜しんでいるのだ。はっきり好きだと伝えて向き合えば嫌でも気に障るところが目につくのだろうが、曖昧に我慢をしてきたのでじわじわと熱が冷めず、気持ちの持っていきどころがない。鎌が邪魔だからと言い訳し、今も角都は飛段の背を抱かずにいる。見えないところでぐちゃぐちゃにつながっているくせに、暗がりの二人は傍からは酔っぱらいと介抱者にしか見えず、それはそれで正しいのだった。