ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ロボよ(ss)



古本屋から角都が出てこない。待ちくたびれたオレは店頭のワゴンに積んであるガキ用の本をめくってみた。動物の絵がたくさん載っている。オオカミの話を読むうち、オレはとてもそのオオカミに共感し、泣きそうになった。いくら我慢しても涙と洟がじわじわわいてくる。できるだけ悲しくないことを考えようと思い、オレは裸の角都を思い浮かべる。たいていどんなときも裸の角都を考えれば元気になれるから。ところが妄想の中の角都が今日に限って辛そうな顔をしている。丸裸で地面に膝をついて、奴の前に転がっている死体のオレに手を差し伸ばしたり、その手を引っ込めて自分の頭を抱えたりしている。オレは死なないんだし角都だってあんな真似は絶対にしないのに、なんかもうたまらなくなって、オレは古本屋と隣の店とのすきまに入りこんでおいおい泣いたんだ。