ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ねむい話(ss)



四つの心臓たちに囲まれ、角都にホールドされたまま寝入っていた飛段が、片肘を曲げてもぞもぞと尻を掻く。心地よい疲労感にうつらうつらしていた角都は眠りを妨げられ、飛段の手を押さえるが、少したつとまたもぞもぞが始まる。静かにしろ、と文句を言う角都に飛段は眠たげな声で、だってかいーんだよ、と返す。しかたなく角都は相棒の尻たぶを片手でさすり、なだめようとする。痒いのはここか。んー違う。ならこっちか。んー近いけど違うゥ。不明瞭な声を聞きながら尻を撫でまわしていた角都は、ほんの冗談のつもりでさっきまで盛んに出し入れしていたところに指を入れ、ぬかるんだ内壁を引っかいてみる。ん、そこォ、と甘ったれた声を出す飛段だが、調子に乗った角都が繰り返しそのポイントをつついてもそれ以上は特に反応せず、やがてすぴすぴと寝息を立てて本格的に眠ってしまう。どうやら本当にそこが痒かったらしい。その先を少しばかり期待した角都はしばらく未練たらしく指を動かしていたが、そうこうするうちにこちらも眠ってしまう。鳥も虫も眠っているのかもしれない。洞窟の外でゆっくりと降り続ける霧雨の音だけが聞こえる夜。