ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

無駄に使うな(ss)



体をつなぎ、苦しげな声を聞きながらぐいと動くと、俺の腕にだらりとぶら下がっていた男がみるみる腫れあがってきた片目を開いて、鼻血をこちらに向けて吹き飛ばしてきた。むろん鼻息でである。相手のダメージを視覚からも楽しもうと顔を寄せていた俺はまともにそれを受けてしまう。とんだ目つぶしを食らって動きを止める俺を男は嗤う。くは、くは、は、は、と漏れる声は長く続かず、ぜろぜろ、と鳴った末に途切れる。腹が立った俺は拳を握るが、意識のない相手を殴ったところでおもしろくもない。行為の間、喘ぐことができる程度の力を残してやったのがあだになった。啜って辱めてやるつもりだった鼻血もなくなってしまったし、こいつが最後の息を使い果たしたときの硬直と弛緩で俺自身予定外の射出をしてしまった。浪費、無駄撃ち、無駄遣い。なんという呪わしい言葉だろう。