ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

新年(ss)



暦など所詮人間が便宜上決めたものに過ぎない、日に優劣をつけることなど無意味だろう、めでたいのは頭だけにしておけ。角都はそんなことを言って、せっかく新年の挨拶をしてやったオレの好意を無にした。腹が立った。しかも仕事に出かけるから用意をしろなんて言いやがる。マジかよどいつもこいつも休んでるこの日に働くだと!?オレは行かねーぜ!すると角都は何にも言わずに出ていっちまった。追うのも癪だし悲しいしで角都のベッドに座って悶々としていると、なんと酒瓶を下げた角都が戻ってきた。床に胡坐をかいて、それを見ているオレに酒を注いだコップを差し出してくる。仕事はどうしたよと聞いたら目をちょっと上げて、たまには良かろうと言った。全然答えになってない、だからオレもそれには突っ込まない。新年らしい挨拶もそれっぽいイベントも何もなし、けど角都が折れてくれたんだから気にすることないよな?オレも床に胡坐をかいて角都と向き合い、受け取ったコップを、せめて相手のそれに力を入れてぶつけてやることにする。