ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

9.8m/sec(ss)


角都が崖から飛んだ。近道にもほどがあるだろーが、と口では文句を言いつつ躊躇なく飛段も続く。先ほど斜面を駆け下りていった賞金首はさほど足の速くない連れを必死に引きずっていた。相手の目くらましに後れをとった角都と飛段だが、これで先回りができそうだ。バイトを手伝うかわりにターゲットの片方は儀式に使わせてもらおうと飛段は考えている。角都に言えば手応えのある方をくれるかもしれない。好漢のようだから捧げられた神も喜ぶだろう。もう片方が離れようとしないなら一緒に片づけてやってもいい、連れ同士がばらばらに殺されるのはかわいそうだから。そんな惨たらしい慈悲を巡らせながら自分の相棒に追いつくべく、飛段は鎌と重力で空を切り裂いていく。