ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ゆっくり、ぬくぬく(ss)

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一週間ほど留守にして隠れ家へ帰ると、夜着にくるまった相棒が怠惰に過ごしていた。風呂わいてるぜと得意気に告げるものの、洗濯ものは山積みに、机の上には弁当のカラと菓子の袋や空き缶が並び、布団も俺が出かけたときのまま放置してある。こんなものだろう、もとよりこいつに家事能力など期待していない。帰路で買ってきた肉まんの包みを広げると、寄ってきた相棒は猫のように背を丸めてしゃがみこみ、手に取ったまんじゅうがあったかいと喜んだ。室内はしんしんと冷えている。宿りだけを目的とした隠れ家に暖房器具があるわけもなく、しかしこれは異常に冷えすぎていて、部屋を見回ると、なんとカーテンに覆われた窓が開いていた。出かけた朝に空気を入れ替えるために俺が開いた窓だ。呆れてそのことを言うと、相棒は肉まんを食べ食べあーそーとのんびり返事をする。どうりでなあ、やけに寒かったぜ。貴様はバカか。やー、オメーがいねーとさみーなあって思ってたけど窓の野郎が開いてたんじゃ寒くて当たり前だよなあ、ゲハハ。貴様はバカか、と俺は小声で繰り返して肉まんをかじり、今夜の風呂は二人一緒に入ろうと考える。燃料も電気も節約できるし何より温かい。今年の冬は厳しかったが、もう春も、すぐそこだ。