ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

だいじなもの(ss)



どこかの大名から角都がカネをあずかってきた。明日よその大名へ運ぶんだと言う。報酬は一割。そのまま持ち逃げすれば丸儲けじゃんと言ったら、こんなはした金で信用が売れるかと返された。一億両がちっぽけなカネだって言うんなら十両なんてミジンコみたいなもんだろ肉まん買ってくれよとねだってみたが買ってくれない。五千両は他人のカネだがこの十両は俺のカネだ、たとえどんなに粗末なものでも自分のものはいとしいからな。そう言った角都がいきなりこっちの頭をがしがしと撫でてきたんで、オレはあわてて離れ、髪を直す。なんだァてめーと凄んでも奴はニヤニヤと笑うだけ。わけがわからない。