ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

同行者(ss)

こあん様からのリク「卵」による小話です。こあん様、すてきなリクをありがとうございます^^



早朝の冷たく透き通った空気の中、飛段はあおのいて上空を移動していく二羽の渡り鳥を見る。なんであいつら隣に並んで飛ばねえんだ?前を飛ぶ鳥の羽ばたきで生じる上昇気流について角都は説明を試みる。後ろの奴が楽してんのかァ、と飛段は単純な理解を示す。先頭は交代すんのか、へー、鳥のくせにうまくやってんじゃん。その日、賞金狙いの集団と消耗戦になった角都と飛段は互いを補いながら戦い、ようやく相手を皆殺しにすると、しんしんと冷えながらせまってくる夜の気配に追われるように野営地を探す。落ち葉の吹きだまった窪地に疲労した体を丸めた飛段は、冷気から自分を庇うように寄り添う相棒に、頭をこすりつけながらもごもごと言い訳する。クソ寒いなァ、後で交代するから、わりィけど暖め役を頼むぜ、ちょっと寝たらすぐに代わるから…。不明瞭な語尾を残して静かになった丸いものに角都は両腕をまわし、腹の中に抱え込む。鳴き交わすものが上空高くを飛んでいく。相棒か、つがいか。地も空も行けるところまで共に行くものたちで満ちている。