ギブキブ（ss）

「世間知らずのままでいろ」の飛段サイドです。




窮屈で息苦しくて、眠いのにいやいや目が覚めると角都がオレをホールドしていた。寝てるオレで遊んでるのかと思ったけど違うらしい。きつく締めつけてくる腕を緩めようと背を反らしたら逆に力が増す。コートに生き埋めにされたまま、角都いてぇよ、と訴えると、思いがけず返答がある。オレの耳の片方は角都の腕に、もう片方は胸に押しあてられていてよく聞こえないが、角都の胸の振動によると、贅沢するな、と言われたような気がする。くそっこいつ寝惚けやがって！寝てるときまで金の心配かよ！オレは少し動く腕でぱんぱんと相手の体を叩き、長くて強い脚に絡まれたオレの脚をもぞつかせるが、角都は起きない。それどころかさっきよりも更にホールドを強めてくる。肋骨が変な音を立てる。息ができずにもがくオレを容赦なく押しつぶす角都の胸が、覚悟はいいか、と振動する。ゼイタクしたオレを懲らしめる夢でも見てるんだろうか。オレが角都に抗えるわけがないのに、今さら覚悟も何も。