ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

姫はじまらず(ss)



愛撫がしつこいと文句を言ったら、気を悪くしたのか角都の野郎が意地になってその先へ進もうとしない。早くしろよいきてーんだよと怒るオレを背中から腕ごと抱きしめて覆いかぶさり、前と後ろを指でしつこくいじってくる。オレだっていく気まんまんだから時間をかけていじられてるうちに気持ち良くなってくるが、もうちょいというところで角都の指が止まってしまう。おい、と肩越しに振り向いて見えたのは、オレの背中に密着してすやすや眠る相棒の間抜けヅラだ。くそ!とオレは小さく毒づく。わかってるんだ角都が疲れてるってことぐらい。ジジイなんだし年末も仕事と移動で休む間がなかった。あんまり猛々しく起こしたくはない。おい角都、おいコラ、とオレは小声で呼びかける。そんなオレの気配りをよそに角都はぐーぐー寝っぱなし、そのくせ強い力で絡みつく腕と脚はびくともしない。もがいても逃げられず、尻の指も微妙な位置のまま。文字通り手も足も出ない。色っぽい声ならもしかして反応するかと思い、ためしにアーンとかウフーンとか言ってみたが無駄だった。ものすごく空しかったし腹も立った。こうなったら角都が目を覚ましてうっかりその気になったとしても簡単にさせてなんかやるもんか、とオレは心に決める。新年早々オレ様が恥を忍んでこんな声まで出してやってるのに、こいつめ!