ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

バリエーション(ss)



最近やっと思い人の手を握ったという鬼鮫がそんなに最初から飛ばしていてあなたたちよく飽きませんねぇと言ったからだろう、こういうことすんのオメーは飽きねぇのと相棒が尋ねるので、まだ飽きるほどしていないだろうと角都は答える。俺たちが組んでほんの数年、毎日しているわけでなし、俺はまだまだしたりないがお前はどうだ。んーオレぁ、と答えかけた飛段は急に、ちょっと待て、とわめく。深山から内枠へ体勢を変える途中で何かが引っかかったらしい。手足を突っ張って動くまいとする飛段を、しかし角都が容赦なくねじって転がす。おいコラァと声を上げた飛段はその語尾を伸ばして実に不名誉な声を上げてしまい、そのまま奥に入り込まれて一瞬くるりと白目をむく。敷布を引きむしる手を角都はとらえて自分の太腿に載せ、その上に自分の手を重ねる。手の握り方にもいろいろあるのだぞ、と角都は心の中で鬼鮫に言ってやる。相手を飽きさせないためには努力と工夫を惜しまぬことだ、貴様もせいぜいがんばるんだな。