ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ダンクシュート(ss)



あると思っていた茶屋がつぶれていたという下らない理由で俺は相棒と喧嘩をする。暑い中を歩いてきていい加減忍耐が尽きていた俺は手刀で相棒の首をはね、それを廃墟の空井戸に放り込む。井戸からはしばらく悪態がわんわんと響いてくる。俺は相棒の体とともに涼しい木陰に座って悪口を聞き流していたが、こんなところに独りで置き去りにするなんて寂しいじゃねーかよォ、と嘆かれて木の葉との一戦を思い出し、やや慌てて井戸の中へ腕を伸ばして相棒の頭を拾い上げる。さて、胴体に縫い付けられた首をコキコキと動かした相棒は、乱れた髪をなでつけた手で胸のペンダントを握ると、あーあやっぱジャシン様がいねーと落ちつかねーぜ、などと抜かす。いつものことで、さほど非道な台詞ではない。だが立腹した俺は我ながら惚れ惚れするようなスピードで相棒の頭を再度はね飛ばすと、それをつかんで先の空井戸へ、今度は力を入れて叩き込む。ぎゃー、と叫びながら頭は消えてゆき、少し間をおいて、先程どころではない罵詈雑言が井戸から噴き出してくる。合間で盛んにイテーイテーとわめいているが俺だって心に大怪我をしたのだ、少々痛い目に合っても仕方がなかろう。