ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

どこもかしこも美しく濡れている(ss)



さー、と砂のような音を立てて細かい雨が降る。重たげに花ざかりの枝をしならせたヤマボウシの根元で雨止みをする角都は、天から地に届く糸のような雨と、その地から静かにたちのぼる靄を眺める。絵のような静けさに同調するかのように、いつもは騒々しい飛段もおとなしく黙っており、角都はそんな相棒をあやすようにゆっくりと揺する。つながっている部分が、ぶぶ、と鳴って泡立った粘液をしたたらせる。角都の胴をはさむ飛段の太腿は汗で、股は体液でぬるついている。再び相棒に深く入り込まれた飛段が吐息混じりの声を漏らすが、その声にも細かな水滴がまとわりついていて、角都はスープのようにそれを啜る。苦しいのか、飛段が伸ばした片腕を角都の首に巻き、ぶつけるように胸を合わせる。それがとても一途に思われて、角都は相棒の体を両腕で抱き、後頭部に片手をまわして相手の顔を自分の首元に押しつける。角都の喉に浮いた汗を飛段の舌が舐め取る。角都は考える。今自分たちが離されたら、裂けるような音がするのではないかと。