ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

一生の伴侶(ss)



換金所の主が女で美人だった。数えきれないぐらい角都と寝ているくせにつながりに確たるものを持っていない飛段は不安を怒りに変え、無作法な態度を取り続ける。部屋が臭い、暗い、窓がない。換金所なら当然のことをあげつらってテーブルの上に足をのせると、気取った(と飛段は思った)つくりの置物が床に落ちて割れた音を立てた。女は動かない。角都が残骸を拾ってテーブルに戻し(これも面白くないと飛段は思った)、弁償すると申し出る。いいのよ安物だもの。いや、損害は損害だ。言いながら角都はアタッシュケースを開き、さっき受け取ったばかりの金を何枚か女に渡す。お前も俺の轍を踏まんように気をつけろ、不出来な伴侶は一生の不作だぞ。女にそう言ってからじろりと飛段を睨む目は冷酷そのものだ。いっそうふくれた飛段は下唇を突き出して女と角都から目をそらす。女がふふふと笑う。外は大雨で、角都はしばらく腰を据えるつもりのようだ。