ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

逆転(ss)



朝、川辺で角都が水を浴びていた。当たり前だが真っ裸だ。目が覚めたばかりのオレはまずそれを眺め、次いで服を脱ぐと奴の背後からそっと忍び寄った。オレの竿は公衆便所の落書きみたいに上を向いていた。そんな状態であとさき考えろってのは無理な話だ。それにもしかしたら今度こそうまくいくかもしれない。振り向いた角都は一瞬目を見開き、オレの股を見て、逃げ出した。まさか奴が逃げるとは。オレは激しく興奮しバシャバシャ水を蹴立てて後を追った。川の中州に大きな岩があって、角都はそっちへ回り込んでいく。心なしか困ったような四遁面の顔の下に尻があり、走る太腿の間から奴のお道具がちらちら見える。たまらん。オレはわめく。一回ぐらいやらせろよ角都ゥ、減るもんじゃねーし、犬に噛まれたと思ってさァ。バシャバシャとオレも岩を回り込む。マッパの野郎が二人してでかい岩のまわりを走り回っているのは考えてみればヘンテコな図だが、笑ってる余裕なんてない。奴に追いついたらあんなことやこんなこともしてやるんだ、フウフウ。オレは鼻息荒く必死に走るが奴はなかなかつかまらない。というか少しずつ離されているような気がする。三週ぐらいしたとき、オレはふいに背後からの足音に気づく。振り向くと追っかけていたはずの角都が水を蹴立ててこちらを追ってくるところだった。竿をおったてて、しかもニヤニヤして。でかくて悪い犬のように。