ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

コンビ(ss)



請け負った殺しをしくじった。相手を侮った飛段が陣を踏み外した隙に逃げられたのだが、角都のフォローも遅れたからどちらもどちらなのだ。角都と飛段は再度獲物を追ったがつかまえることができず、自分たちの失敗を認めざるをえなくなった。依頼主から受け取った前金を返却しなければならない。これも相当面白くないが、失敗の報告をすることの方が更にキツい。そこへ着くまで互いに口汚く罵りあっていた角都と飛段はむっつりと黙り込み、依頼人の前に立った。依頼人はまず今後の始末について話をし、続いてしくじりの理由をただしてきた。質問には主に角都が答える。情報に誤りはなかった、つまり俺たちが奴を見くびりすぎていたということだな、そのとおり、こちらの落ち度だ。淡々と答える角都のとなりで、飛段はさもうんざりした様子でそっぽを向いているが、部屋を出ていこうとはせず、相棒のそばに踏みとどまっている。こいつと俺とどちらが辛いのか俺にはわからんな、と角都は考える。角都に想像できるのは、自分が飛段の立場だったら耐えがたいだろう、ということだ。