ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

忍ぶ者(ss)



賞金首を待ち伏せしているんだがとにかく寒い。まだ昼過ぎだというのにもう日が傾いていて、景色は白黒写真みたいになっている。冷えた風がコートと体の間を吹き抜ける。いい加減に引き上げようぜと言ってみたが角都はあきらめず、吹きさらしの岩の上でじっと身をかがめている。テメーのバイトにゃつきあいきれねえと言い捨ててオレはそこから離れる。岩陰でやけに熱い小便をちびちび出しながらしばらく待つが、角都の気配はとうとう動かない。