ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

評論と実践(ss)



賞金首と飛段がやりあっている。さまざまな術を使う相手に対し、飛段の戦い方は実に単純で、突起物だらけのビルの壁面を駆け上がり、飛び降り、鎌を振り回す。角都はそれを見守り、機敏だが攻撃も防御も穴だらけで雑だ、後で言ってやらねば、と考えている。ようやく賞金首が倒れる。ふん、ギリギリだったな、大体いつも貴様は。おいおい危なっかしいのはテメーだろ、と飛段が角都を遮る。いっつも思うんだけどよォ、テメー前ばっかりであんまり後ろ見てねーだろ、わかんだよ反応おせーから、死角があるってちゃんと自覚しろよな、オレが本気出したらテメーなんか即死だぞ。死角を作ればそこに相手が集まるだろう、そういう作戦だ、バカにはわからんかもしれんが。嘲笑で角都は動揺を隠す。他人の批評はできても自分の弱点を直視することには不慣れなのだ。