ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

出られない→出る(ss)



真っ裸でトイレに入ることが褒められた真似ではないことは認めるが、自分の部屋でどのような格好をしていようと俺の勝手だろう。ところが遠慮を知らない相棒が仲間を連れて部屋に侵入してきたので、俺は出るに出られなくなった。奴らが出て行ってからと思ったのが間違いで、退屈したらしい相棒は、なんと廊下を通る他の仲間まで俺の部屋に呼びいれ、ぺちゃくちゃとくだらんことを喋りはじめた。歓迎せざる客は増え、部屋はちょっとしたサロンとなっている。雪隠詰めの俺は気配を消したままうろうろと考えを巡らせた。既にひどい羽目に陥っているが、誰かがトイレを使おうとしたら状況は更に悪化する。ドアが施錠されていれば当然そいつはトイレを使えないが、同時に中に俺がいることにも気づくだろう。瞬身の術を使えば逃げられるがチャクラで俺の存在が発覚するに違いない。今や俺にとっての問題は「裸」という単純なものから「裸でトイレに入っていたことを恥じてずっとトイレに隠れていたことがばれること」に発展していた。答が見つからず煮詰まる俺の耳に、ちょっとションベンしてくらぁ、と聞き慣れた相棒の声が届く。とっさに自分の尊厳を守る道を見出した俺は、迷わずに個室を開錠し、相棒の口をふさいで引きずりこむと、瞬身で奴もろとも奴の部屋へ飛んだ。やった、脱出だ!ぽかんとしている相棒をとりあえず一発殴り(そもそも他者を連れ込んだこいつが悪いのだ、こいつ一人なら俺だって気にすることなくトイレからさっさと出られたのだから)、奴自身のトイレへ押し込める。えぇ、なに、ハァー?などとわめいているが知ったことではない。そのあたりに散らばっている相棒の衣服を急ぎ着用しながら俺はやっと口元を緩ませる。ともかくこれで瞬身を使ったのも水音を憚って流していない汚物の出所も飛段に帰することができる。ざまをみろ!