ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

収穫の法則(ss)

「中途半端がいちばんよくない」の続きです。裏の「奉仕、あるいは冒涜」に続きます。
5/1に「中途半端」の続きが読みたいと言ってくださった方へ。そして裏文を書く勇気を与えてくださったA様へ(笑)。



何か問題を抱えているときの交わりが、決まって充実したものになるのはなぜだろう。打ち合わせの時間を控えて気もそぞろだというのに、俺の手は飛段の体から離れようとしない。手だけではない、目も舌も耳も鼻も飛段に占拠されてしまっている。一点で俺と深くつながった相棒が畳の上で身をよじる、その呼吸さえ独り占めしたくて上体を抱き起こすと、がくんと肩に落ちてきた頭がかすれた声で何かを言った。時間だぜ、角都。意識から追い出そうとしていた事柄を指摘され、俺も時計に目を走らせる。約束の時間まであと五分を切っている。確かにもう猶予している暇はない。無理矢理相棒から体を引き離した俺は、よれよれになった浴衣を脱ぎすてると下着を省いてズボンを穿き、頭巾とマスクと額宛を身につけた。コートで不都合な体を覆いながら、しどけなく横たわったままの相手に命じる。いいか、勝手な真似をせずにそのまま待っていろ、すぐに戻る。オイオイ生殺しかよ、と俺と同じぐらいとんでもない状態の飛段が力なく苦笑する。遅かったら承知しねえぞテメー。そうして俺は部屋を出る。誰かを殺すことを請け負い、その報酬を交渉し、部屋に戻り、播いた種を刈り取るために。