ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

全身くまなくナマス切り、とか(ss)

藤堂様からのリク「ヤキモチ角都」による小話です。あんまり上手に妬けていませんが。
藤堂様、ご感想とリクエストをありがとうございました。



物忘れのいい飛段が珍しく長々と怒っている。例の宗教をからかった奴は俺が始末したのだが、それがまずかったらしい。あっさり殺しやがって、というわけである。道中えんえんと垂れ流される幼稚な不平をずっと聞き流していたのだが、そろそろ俺も限界だ。お前がさっさと殺っていれば俺だって手は出さなかった、自分の腕の甘さをまずは恥じろ。なんだとォ、あんなへなちょこヤロー簡単にやれたぜ、テメーがいらんおせっかいを焼かなきゃよォ!飛段の罵声に少し泣きが入っている。大事な神をバカにされたのがよほど悔しいらしい。顔を半ば背けているが頬と耳が真っ赤に染まっていて俺の嗜虐心を誘う。ほぅそれは悪かった、奴が馬乗りになっても動かんから俺はてっきりお前が幻術にでもかけられたのかと思ったのでな。んなわけねーだろ、うるせェんだよ黙れ!ぷうとふくれてブツブツ言いながら、それでもちゃんとこちらの歩調に合わせてついてくる飛段をうかがい、俺は口元を緩める。確かに俺のやり方は間違えていた。あの男のジャシン批判は論理的で痛快ですらあったが、それが原因で奴が飛段の記憶に強く残ったのであれば、もう少し痛めつけてから殺してやるべきだったかもしれない。