ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

天然タラシ(ss)

さくま様からのリク3「白髪の話」。私の中では角都に白髪は生えていないようです。生えているのも萌え!なんですけれど(笑)



角都は金勘定に精を出している。宿の座卓の上には一定の厚さに束ねられた札束が整然と並び、帳簿には角都のやや右肩上がりの文字が連なっている。何を書いているのかわからないが、きっと今日の賞金首や金についてのことだろう。無表情のくせに嬉しそうに見える。ホントに奴は金と仲がいいのだ。ほったらかしのオレは相棒の後ろに立って頭を見下ろしながらペンダントをいじり、寂しさをジャシンさまに慰めてもらった。浴衣一枚の角都はすてきに色っぽいけど、今の奴は金に心を奪われていて構ってくれそうにない。オレはのしのし部屋を歩き回ったが、結局はまた相棒の背後に戻った。悲しいかな、ここが一番相棒の近くにいられる場所なのである。オレは床に膝をついて相棒ににじり寄り、奴の美点の一つである黒髪に触れてみた。洗われてまだ湿っている髪に指を通し地肌を撫でてみるが、相棒は無反応で、つまらなくなったオレは指に絡まる髪を一本引き抜いた。白髪あったから抜いてやったぜェ、と恩着せがましく言いながら背に張りつき、急ぎ引っこ抜いたオレの髪を見せてやる。奴の目をこちらに向けたかったのだが、相棒はちらりとオレの手指を見ただけでまた帳簿に戻ってしまう。それお前の髪だろう飛段。ハァ?なんだよテメーのだって言ってんだろーがコラ!慌てて大声で騒ぐと、相棒は面倒そうに首をそらしてオレの顔を見上げた。俺がお前の髪を見間違えるわけがないだろう、バカが。バカはテメーだっつーの、とごにょごにょ言いながらオレは顔を俯ける。せっかく相棒の視線がこっちに向いたってのに我ながら不甲斐ない。けどこんな場合どういう顔をすれば格好がつくのかオレにはわからないのだ。だっていきなり幸せって奴が飛んできたら誰だってびっくりするだろ。