ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

与えられるもの(ss)



ちょっとそういう雰囲気になり、飛段が角都にキスをした。体には特に触れず、唇の端にちょん、と口づけて、顔を離す飛段が笑顔になる。そう言えばこいつはキスをした後必ず笑う、と角都は思い当る。多分照れ隠しなのだろう、そして本人はそれに気づいていないらしい。指摘したら笑ってくれなくなりそうで、角都はそれを胸に秘める。ちなみにキスをするとき角都は常にマジメな顔をする。彼にとってキスは性行為と違って対等なものなので、自然にそうなる。受ける飛段は、それを見るたび自分は真剣に扱われていると考え、飽きずに心中で忠誠を誓う。性行為では下品なことも平気でしでかすくせに、キスに関しては作為のない奇妙な二人組だった。