ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

さっきも殺すっつってたろ、あれ本気だよな、そうだよな(ss)

こあん様からのリク「二枚舌」による小話です。嘘、というより矛盾ということで。こあん様、いつもすてきなリクをありがとうございます。



角都がオレを殺すとわめいている。あの役立たずめどこにいる、ズタズタのグチャグチャにしてくれる。そりゃこっちのオハコのセリフだぜと呟いたオレをデイダラが小声で叱る。静かにしろよ、巻き添えはごめんだぜ、うん。なのでオレは濡れたぼろ布の下でしっとりした粘土と一緒にじっとうずくまる。ガーガーわめきながら角都はそのへんをうろつき、収納庫を開けたり椅子を蹴ったりしていたが、アジトの中にはいないと踏んだのかようやく表に出て行った。冷たく貼りつく布の下から這い出たオレに、お前角都に何したんだよ、とデイダラが訊いてくる。奴の帳簿を燃やしてやっただけだぜ、別に大したことじゃねーし。うえっ、とデイダラが非難がましい声を上げる。そりゃ角都もキレるって、いたずらにも程があるぜ、うん。だってよォ、と言いかけたら鼻がツンとしてきてオレは慌ててそっぽを向く。だってよォ、ゆうべ角都がいやに長々と帳簿をつけてやがったからよ、あとでこっそり覗いてみたらよ、なんかユイゴンてゆーの?あいつが死んだら金をどうしろこうしろってのがびっちり書いてあってよ、お、オレの名前もあってよ、飛段の分は信託にするようにってあってよ。音を立てずに鼻水をすすってからデイダラの方を見たら、あいつは髪の毛をこっち側に垂らして粘土をいじっている最中だった。遺言なんてジジイの遊びだろうが、ほっといてやれよ、うん。けどよォアイツいつもオレのこと殺してやる殺してやるっつってるだろ、なのに裏でコソコソ別のこと書いてやがるなんてキタネェじゃねーか、だからオレは奴を懲らしめてやったんだ、オレは悪くない、角都が悪いんだぜ。デイダラは何も言わない。きっとゲージツに熱中しているんだろう。髪の毛も相変わらず垂れてるから、オレが袖でこっそり鼻水を拭いても奴には気づかれないに違いない。