ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

ジッパー(ss)



寒い寒いとこぼすぐらいならコートの中に何か着ろ、へっテメーみてえにダセーもん着れっかよ、という相棒とのやり取りを聞いていたのだろう、小南がオレに服をくれた。袖なしのつなぎ型で下はボクサーパンツぐらいの丈がある。ペインに買ったのだけど良かったら持って行け、と言う。逆開ファスナーにピアスが引っかかってリーダーには使えないんだそうだ。ギャクカイってなんだ、と思ったけど見てみりゃなんてことはない、上からも下からも開くジッパーのことだった。高めの襟首からの前開きジッパーは股下を通って尻まで達している。逆開ならば尻だけジッパーを開けられるし、ということは着たまま用が足せるのだ(多分リーダーはここで引っかかるんだろう)。見た目も黒くてゴムみたいにぴたっとしていて悪くない。ところがそれを着て行ったらなぜか角都が落ち着きを失った。よく見せてみろ、と言ってオレのコートを脱がせてズボンを引き下げ、薄気味悪いぐらいしげしげと眺めてくる。ジッパーも盛んに開け閉めする。ついでに他のこともする。せっかくもらった服だし何度か着たが、そのたび逆に寒い思いをしなきゃならないのでオレは着るのをやめてしまった。くそ面白くもない。ふつうハダカが見えた方がその気にならねえ?ジッパーがそんなに楽しいか、角都よ。