ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

肉マニア(ss)

アズマ様からのリク「短角牛」による小話です。私まだその広告見てませんよアズマさん、と思ったらデター!「い/わ/ての短角牛」!角つながりでこんなところに出されちゃったんでしょうか。なんだか広告主に済まないような…^^;




仕事は終わったはずなのに角都が席を立たない。情報屋のオヤジとどこの会社がつぶれそうだとかそんなどうでもいい話を続けている。オレは退屈し、おい先に出てるぜ、と言い捨てて表へ出たが、待てども待てども相棒は出てこない。しびれをきらして中へ戻ると、相棒はさっきとまったく同じ格好でオヤジと向き合っていたが、オレが部屋に入ったとたん二人とも口をつぐみ、不自然に黙った。変だ。あぁ?とオレが奴らの顔をじろじろ見ると、オヤジがちょっと慌てたように言葉を継ぐ。ああそれは大したものでしょうねえ、私もそっちに興味があればぜひお相伴にあずかりたいところですが、どちらかというと柔らかい方が好みでしてね、例えば霜降りのたっぷりしたロース肉なんかいいですねえ。霜降り肉は確かにうまい、と角都が返す。だがしっかりした噛みごたえの赤身肉に慣れてしまうとどうももの足りない、俺の好みは短角牛でな、野育ちの健康な肉を叩いて熟成させると実に絶品で毎日食べても飽きることがないのだ。オイオイいつ肉なんか食ったよとオレは小声でぶつくさこぼすが、二人はまったく気にせずに腿がいいだの肩がいいだのと話し続ける。たかが肉について、ネチネチと。