ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

やる気、を知られるのがいやだったばかりに(ss)



するか、という段階になって角都は翌日の仕込みを忘れていたことを思い出す。用を思い出した、待っていろ、と言い残して部屋を出た角都が十秒ほどで戻ってきたので飛段は驚く。えれぇ早さだな、何してきたんだよ。気にするな、と角都は相手の質問を流して行為を進めようとするが、だって出てったとたんに戻ってくるなんて変だぜぇとしつこく尋ねられて面倒になり、チーターに乗って移動したから早かったのだ、などと下らないことを言ってしまう。嘘だとわかる嘘なら突っ込まれないと思った角都は相棒の愚かさを読み誤っていた己を呪うことになる。チーターって何?ネコ科の猛獣?猛獣ってクマみたいな奴か?なんでそんなケモノが廊下にいたんだよ?どんだけ速い?そいつらが時速百キロで走るって誰がどうやって調べたんだ?キスをされて抱きしめられて服を脱がされて、それでもチーターって何?と頭をひねる相棒に、とうとう角都は帳簿にへたくそな絵を描いて高速で狩りをする哺乳類について講義をする羽目になる。布団の中でうつぶせになり、猫に似ていなくもない(少なくとも熊ではない)獣を苦心して描く角都の隣で、飼いならされた猛獣のわがままを発揮する飛段は満足そうにはだかの体を相棒にすり寄せる。その感触に角都は心中嘆息する。たまたま部屋の前を通りかかった仲居に明日は起こしに来なくてよいと伝えることができた、そのタイミングの良さが今では恨めしい。今夜はたっぷり相棒を楽しんでから心地よい疲労で泥のように眠る予定だったのだが。