ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

パッケージ(ss)



報酬を受け取りにやってきた角都と飛段を依頼主はしげしげと眺めたあげく、これはこれは手ひどくやられたもんですな、と言った。戦闘相手だった大名お抱え軍隊が爆発物を多用したため二人の服はずたずたになっており、返り血も相当浴びてはいたが、実際には角都も飛段も無傷だった。一般人である依頼主にはそれを判断する目がなかったのである。あんたがたがこの話を受けたときにはさも簡単に終わらせるようなことをおっしゃっていたが見ると聞くとじゃ大違いでしたかな、これだけの大金をお支払いするのがなんだか惜しくなってきましたよ、はっはっは。そこからの帰り道、飛段が、あいつ一体どういうつもりだったんだろうなあァ、と言った。知るか、と角都は不機嫌に吐き捨てる。元依頼主の金庫の中身が予想よりも寂しかったのである。フン、もっと貯め込んでいるかと思ったが、とひとりごちる角都を飛段がからかう。高い服を着たデブが金持ちとは限らねえだろ、見かけで人を判断しちゃあいけねぇなあ。相棒と対照的に飛段は上機嫌だ。思いのほか美味だった贄の恐怖心を反芻しながら、意外にしぶとかったぜあのオヤジ、もっとあっさり死にそうなツラしてたのにな、などと考えている。外見で他人の価値を計り、見誤っていたと言う点で、元依頼主も角都も飛段も同列に並んでいた。だがもう元依頼主はパッケージに惑わされることはない。永遠に。