ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

あいこ(ss)



苦労してかせいだ金にケチをつけられて立腹した角都は相棒とつかみ合いの喧嘩をし、勝敗をはっきりさせてもなお収まらず、殴り倒した相棒の両手を重ねてクナイで地面に打ち付けた。負けた飛段は、それでも口汚く角都とカネを罵り続けた。苛立った角都は相棒の装束を探って仕込み杖を取り出し、シャカシャカと音を立てて伸ばした。自分の武器を胸につきつけられた飛段は目を剥いてずいぶんと憤慨したような顔をした。そりゃ儀式用だぜ、神聖なもんなんだからこんなくだらねぇことに使うんじゃねーよ、おいやめろ、バチが当たるって、やめろって言ってんのが聞こえねーのかコラ!かまわずぶっすりとやろうとした角都だが、慌てた子どものようなわめき声になぜかためらい、しまいには杖をカランと地面に打ち捨てる。さて、貫かれた両手をギチギチと揺すってクナイを抜いた飛段は、拾った杖を縮めて袖の中へしまいこみ、しばらく所在なさげにうろうろしていたが、結局は木陰に座る相棒の隣に腰を下ろし、裂けた手のひらを舐めながら風に吹かれていた。角都は黙っていたし飛段も何も言わなかった。飛段は角都の誇りを侮辱し、角都は飛段の体を傷つけたが、落ち着いて考えてみれば謝るほどのいさかいではなかったからだ。