ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

独語・スケ2(trash)

今日は原発についての勉強会へ行ってきました。勉強会は良かったのですが、とにかく暑くてへばりました。思い切り涼しい服を着て行ったのに…。ダメだこりゃ…。

先日の微妙な文を続けてみました。うん、後できっと直しますが、とりあえず。



<スケッチ 2>


 暁会には決まった指導者がいない。絵を描きたい者の集まりであり、会費の徴収以外には規約らしいものもない。会員が互いにポーズを取ることもあるが、気が向かないからとモデルに背を向けて窓の外を描く輩もいる。
 そのようなゆるい同好会ではあったが、今回ほどモデルの質が低かったことはかつてなかった。飛段という青年は整った容姿をしていたが、堪え性がないのかしょっちゅう体をゆらつかせ、たった二十分の間に幾度も重心を変えるのだった。業を煮やしたデイダラが怒ってもまったく悪びれない。
「そうカッカすんなってデイダラちゃん」
「なに余裕こいてんだ、もっとちゃんとやれよ、うん」
「だってよォじっと立ってんのって結構きついんだぜ、ちょこっと動くぐらい大目に見ろよ」
 休憩の間まで騒がしい奴だと角都は呆れ、ほとんど形にならなかったデッサンをカルトンから外した。ペインが鬼鮫と話しているのが見える。ちらりと青年へ向けられる視線からしてモデルについての意見交換をしているらしい。角都が新しい木炭紙をクリップで留めつけていると、件の青年がぶらぶら近づいてきた。全裸のままで、もちろん下腹部も剥きだしである。角都は窓枠にかけておいた自分の上着を取り、青年に向けて突き出した。
「着ていろ」
「ハァ?」
「女もいるんだ。休憩の間は何か羽織っておけ」
 青年は小南を見てから角都に目を戻し、じろじろと睨めつけてから、上着に目を落とした。
「…それ誰の」
「俺のだが」
「おめーのか。ならいい」
 ムッとして引っ込めようとした上着をぐいと取られ、初めて角都は相手の言葉が肯定であったことに気がついた。そのとき、ペインがぽんと手を打って皆の注目を集めた。
「今日はクロッキーにしようと思うがどうだろう、時間が短い方がモデルもやりやすいと思うんだが」
 それを聞き流しつつ、角都は麻のジャケットを肩にかけて再び室内をうろつく青年を眺めていた。ポーズはなっていなかったが青年の身ごなしは自然で、裸でいることへの過剰な意識が感じられない。面白いかもしれん、と角都は考えた。慣れたモデルはきちんと見た目を計算し、裸の上にポーズをまとう。それは良いのだが、たまには意匠の異なるものを描いてみたい。あの青年なら角都が望むような、文字通りのヌードを描かせてくれるかもしれない。通常よりも安い報酬で。
 ペインの提案は受け入れられ、青年がクロッキーのポーズに入った。立ったりしゃがんだりした挙句、これなら何とか続けられる、と床にあおむけになる。デイダラが怒号を飛ばし他の者が失笑する中、角都は常になく明るい気持ちで木炭紙へ手を伸ばした。


→スケッチ3