ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

小さいが完璧な円を描くように(ss)



手ごわい相手との対戦を控え、角都と飛段は作戦を立てる。あらかた決めたころになって、まあそんときの都合でオレは好きに動くけどな、と飛段が勝手なことを言う。お互い様だ、貴様につきあっていたら賞金首を逃がしかねないからな、と角都もそっけない。国境を越えて先方の陣地へ入り込み、いよいよ気配が濃厚になってきたとき、進む方向を見据えたまま二人は短く言葉を交わす。調子に乗って俺から離れるなよ。テメーこそ遅れをとるんじゃねーぜ。そうして斬りこんでいく飛段の背後から角都が四遁を放つ。針の穴を通すような精度で四遁の攻撃の合間を縫い、飛段が対象に肉薄する。相手が瞬時に幻術を発動し、大きく鎌を空振りした飛段は、おせーぞ角都!と怒鳴る。あと半秒早く打てよ!貴様がノロマなんだろうが、と角都もうなる。上だ早くしろ、また逃げられるぞ。わーってるようっせー!やかましく言い合いながらも二人は作戦に忠実に動く。決して互いに離れることなく。