ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

折しも彼岸だし(ss)



飛段の目がうつろになっている。長時間の行為を強いられただけで脳をつぶされたわけでもないのに軟弱なことだ。対面の座位だったので奴の体は倒れることなく俺の腕にもたれかかり、引き寄せれば従順に抱かれてくる。自分で動くことをやめた飛段の体は重いようで軽い。俺は両手で奴の胴をつかみ、何かをすりつぶすようにしつこくグラインドさせる。ピチピチと音を立てて俺と奴の隙間から粘液が漏れる。ピチピチ、ピチピチ、ピチピチ。こんなに腹深くまで侵入されては苦しいだけだろうが、奴のことだから苦痛から何か別のものを拾っているかもしれぬ。傾いだ頭をこちらにねじり向け、口を吸って遊びながら、こいつはまるで花のようだなと俺は考える。美しくて蠱惑的でいい匂いがして受精に向いていて蜜をたっぷり持つ花はそこにあるだけで虫を呼ぶ。金に関係ない女や野郎どもをずいぶん始末してきたが、相棒は俺のことを短気な男だなぐらいにしか思っていないのだろう。今も俺たちのすぐそばには男の骸が落ちている。共同浴場の湯の中から飛段を見て自分自身を慰め、そこでやめておけばよいのに部屋まで覗こうとした愚かな男。まだ目を開いてこちらを見つめているそいつの前で、手折られた花はぐらりぐらりと首を揺らし、上下の穴から蜜をしたたらせる。貴様に手向けてやろう、と俺は笑う。極楽の花を。死人に花は付き物だからな。