ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

かたくて臭い(ss)



捕獲したイノシシの四足をまとめて縛り、棒にぶら下げて谷間を歩いていく者たちがいる。山道からそれを見下ろした飛段が盛んに食べたがるので、角都はイノシシ肉の欠点を並べ立てる。あの肉はかたくてにおいが強く食べにくい、生きているときのイノシシはとにかく突き進むばかりで始末が悪いが、死んでも始末の悪さは変わらんということだ。不服そうにそれを聞いていた飛段だが、ふいにニヤリと笑うと、かたくて臭くて始末が悪いんじゃイノシシの肉ってまるでテメーのナニみてぇだなあなどと言う。俺は臭いか。ああくせーぜ、悪い匂いがプンプンしやがる。イノシシの一行を見送ると、飛段は臭いと言われて内心傷ついている角都に歩み寄り、片腕を相手の首に巻くとコートの裾からもう片手を入れて件のナニをぎゅっと握る。おい、それは臭いんじゃなかったのか。くせーよ、くせーしかてーし始末わりーし、まったくたまんねーぜ、へへへ。そのままマスクを引き下ろされべちゃべちゃと口をなめられて、角都は相棒がさかっていることを知る。で、くせーイノシシ肉はうまいんだろ。まあそうだな。だろーと思ったぜ。