ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

そこまで悟れない(ss)



通りかかった村で秋の祭をやっていた。わいわい大勢集まって神社からの投げ餅を拾っている。餅に混じって飴や小銭も撒かれているようだ。へーと思って眺めていると、村の連中にまじって白い頭巾が忙しく動いている。オメーみたいな奴がいるぜと隣に話しかければ、さっきまでいたはずの相棒がいない。もう一度よく見てみると頭巾は見紛うことなく角都の頭なのだった。すばしこく右往左往していた頭巾はやがて意気揚々とこちらに戻ってくる。投げ餅が終わった境内では何も拾えなかったらしいガキが泣いているが、それとは対照的に相棒のコートのポケットや袖は不自然にふくれあがり、重たく揺れている。オレの視線をどう思ったのか相棒は得意そうに鼻を鳴らし、あとで分けてやるからそう拗ねるな、と言う。いらないだと、フン、無理するな、我慢と貧乏はするだけ損だぞ。確かにその通りだし満足げに頭をそびやかす相棒に反論する気はない。だがしかし。