ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

裏の裏(ss)



宿の部屋で、なぜか飛段がさかんに春を買えと勧めてくる。オレのなじみにおめーのこと話したらやけに乗り気でさ、カネいらねーから遊んでけって言うんだわ、オレの顔立てると思って一発やってくんねーかなァ。角都は無表情のままだが、なあ頼むよと懇願された末にかすかに頷く。よっしゃーじゃすぐ呼んでくるから待ってろと息継ぎもせずにまくし立てて飛段が部屋を出て行ったのち、本当にすぐに女があらわれる。宿の浴衣姿でにやにやしている女が布団の上に横になると、角都は非常に事務的に相手にまたがる。女がまるで格闘技のように両手足で角都の体にからみつく。と、天井からすとんと丸裸の飛段が飛び降りてきて、女にのしかかる角都のさらに上から覆いかぶさる。かぶさりながらヒャーとやかましく騒いでいるのは興奮のためらしい。相手の尻に準備万端の股を押しつけ、ゲハハー、と高笑いした飛段はしかし、続いて天井から飛び降りてきた者に腰をつかまれ挿入されて息をのむ。女とその上の角都がポンと消え、残ったのは這いつくばった飛段と角都の本体だが、腰を使いながらも角都は背後への警戒を怠らない。忍たるもの斯くあるべし。