ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

鼻の下は伸びっぱなし(ss)



角都がオレの中へ入ってきたので呼吸が浅くなった。暑い日、川へ入るときの感じによく似ている。いつものことだが胸が中から押される苦しさにはどうしても慣れることができず、ハッハッと息をするオレに角都が、そういえば××の情報屋から連絡があったか、と訊いてきた。思いついたことを忘れないうちに確かめたいのはわかるが、今この瞬間に訊くべきことでもないと思う。けど胸が苦しいのでオレは端的に、ない、とだけ答えた。角都は、そうか、と言って少し考え、情報が届いたら○○にそれを伝えねばならん、俺の不在時に連絡が来たらお前すぐに○○に伝達しろ、いいな、と言った。そんなめんどくせえことはいやだと言いたかったがそう言ったら話が長くなりそうなので、わかった、と返した。とにかく余裕がない。なのに角都は中途半端なところで腰をとめたままじっとこっちの顔を見ている。一昨日俺の豆大福を食っただろう。不意打ちにごまかしきれず、食った、と答えるオレ。角都の眉間にしわが寄り、目が細くなる。すごく意地悪そうに。今さら逃げようとずり上がったが奴のでかい逆とげが穴の入口に引っかかる。釣り上げられた魚状態のオレに角都はいろいろ質問をし、オレは考える間もなく正直に答える。開いた帳簿の上で煎餅を食ったか、ビンゴブックに落書きしたか、便座を上げないで小便したか、貴様俺に惚れてるか。フン、そうか。