ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

もうすぐ新年9・ション14(ss)



飛段が貧乏ゆすりをしている。安宿の座椅子がギチギチと耳ざわりな音を立てる。うるさい、と角都が唸ると、もうあと少しなんだから邪魔すんな、と言い返してくる。ハァ?見りゃわかんだろ小便我慢する修行してんだよ、いつでも行ける今みてーなときに練習しときゃ、もしものときに役に立つだろ。呆れかえった角都が早く用を足しに行けと促すが、いーや来年までぜってー行かねえ、と飛段は意地を張る。今日いちんちの頑張りを無駄にできねえ、あと一時間の辛抱だ、オレぁ負けねえぜ。馬鹿らしくなった角都は相手をするのをやめ、自分の茶碗に茶を注ぐ。おい、と飛段が凄む。水の音を立てんじゃねえ、修行の邪魔だ。ふさげるな、茶ぐらい好きなときに好きなだけ飲むわ。てめぇ喧嘩売ってんのかと飛段は相棒を睨みつけるが、相手がさらに茶をジョボジョボと注ぎ足すと目をそらし、いっそう激しく体をゆすり始める。茶を飲み終えた角都は、しばし考えたのち、着ているものを全部脱ぐと座椅子にゆったりと胡坐をかき、ニヤニヤと飛段を見る。目を丸くしてそれを見ていた飛段は急にワーと声を上げて立ち上がり、狭い部屋の中をぐるぐる歩きだす。てめー後でひでぇ目にあわせてやるぜ、マジで殺してやる、あっ何で今そういうカッコするかな、くそー、あーそろそろ盛り上がってまいりましたァ!