ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

昨夜、何を(ss)



真昼間、仕事の打ち合わせの最中に飛段が居眠りをする。角都は呆れるが、暴力に訴えても相手は怒るか喜ぶかであろうし、どちらにしても打ち合わせは進まない。角都は飛段のあごをつかみ、墨を含ませた筆で眠りこける顔に落書きをする。まぶたに見開いた目玉、鼻先に黒丸、頬に猫ひげを描きこまれた飛段の顔はもともと整っているだけにおかしなことになり、すっかり溜飲を下げた角都は居眠りから覚めた相棒を特に怒ることなく仕事先へと向かう。間抜けな顔の相棒を外に残して依頼人の屋敷に入った角都は、商談の後に酒を勧められ、マスクをとる。殺し屋の素顔を見た依頼人は、黒々と描かれた鼻毛や頬のうずまきを見て軽く息をのむ。笑うところだとは思うが、相手があまりに平然としているのでどう反応すればよいかわからない。