ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

出たとこ勝負(ss)



焙った肉を分け合いながら、角都は自身がときどき行うイメージトレーニングを飛段に教えようとする。眠る前に明日の戦いを頭の中で予習してみろ、問題にどう対処すれば良いのかそこで考えてみるのだ、わかったな。あーハイハイわかったってェうるせぇなァ、などと言い返すものの飛段のことである、放っておけば何もせずに眠ってしまうに違いない。野営の火をつつく角都はごろりと横になった相棒をしばらく睨んでいたが、やがて立ち上がると相棒のすぐ傍へ移動し、すでに眠りこけているような顔を見下ろす。おい、明日のことを考えているんだろうな、と声をかけても相手は答えない。おい飛段、とさらに耳元で低く囁くと、ぽ、と濡れた音を立てて開いた唇が角都ゥと呼ぶので、角都はうっかり、本当にうっかりとキスしてしまう。こんなつもりではなかった、と考えたときにはもう遅い。相手の出方次第で状況が変わってしまう戦闘や色ごとについては予習がきかないこともままあるのである。