ハキダメ

ダメ人間の妄想の掃き溜め

運送(暁カンパニー)(ss)

いつもお世話になっております。さんぽやです。
今年も怠けに怠け、ろくすっぽ更新もしませんで、どうも失礼しております。
来年もダメな感じになると思いますが、お暇つぶしにでもお立ち寄りいただければ幸いに存じます。
今日も中途半端なものをちょっと書きましたんで上げておきます。暁カンパニーの小話です。
新年に続きを上げたいと思っておりますが怠け者なのでどうなることやら(しかもつまらない話ですm(__)m)
ではでは皆様、良いお年をお迎えください。




資材不足で納期に間に合わないと支社から連絡があったとき、角都は嫌な気持ちになった。本社には資材の在庫があり、これを支社まで届ければ良いのだが、リフレッシュ休暇中の鬼鮫を除くと社内で牽引免許を持つのは角都だけだったからである。その距離はざっくり五百キロメートル、そして今は大晦日の昼をすぎたところ。年越しの夜に角都は私用を入れていた。だが社長命令は絶対であり、会社の利益を減じることは断じて避けなければならない。部下に小切手処理を指示しながら防寒着に腕を通していると、社長のペインがやってきて、急にすまないな、と言う。時間外はもちろん特別手当をつけよう、せっかくだからあちらで少しゆっくりしてくるといい、湯どころで酒もうまいぞ。生憎だが俺にも用があるのでな、すぐに戻る。角都がそっけなく返すと社長はわかりやすくしょげた顔になったが、隣に立つ社長秘書はまったく動じず、冷たい声で、それは残念ね、と言ってファイルを突き出してきた。資材のリストと新しい工程表よ、すでに遅れているのだから早く出立してちょうだい、先方には企画部長が待機、営業部長を同行させるので移動中の連絡は彼にさせるといい。そう言って唇の端をつり上げる。角都課長、ペインの言うとおりあそこはいい所よ、二、三泊していらっしゃい。角都は返事をせず、威厳を保ったままファイルを受け取る。角都の「用」が何であるか彼女は知っているらしい。さて車庫ではセミトレーラーを引いたトラクターのエンジンがかかっており、運転席にはオレンジ色の派手なスーツ姿の男が座っていた。角都はかまわず運転席側のドアを開け、男を奥へ押しやって腰を下ろし、シートを後ろへ下げた。助手席側へ押し込まれた男がゲハゲハ笑う。なんだ不景気なツラしてんなァ、心配すんな晩メシはキャンセルしといてやったぜ、いいじゃん半日早く二人で遠出できると思えばよォ。暢気な野郎だ、運転するのは俺なんだぞ。毒づきながら角都はハンドルを握り、もう片手でサングラスをかける。こんなことで簡単に上向いてしまう自分の気持ちを隠すように。


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